「え〜、大体の者がパートナーを選べたと思う。」 アズサが魔式拡声器で言った。 「パートナーを選べなかった一人はシャモン先生と組んでもらう。」 全員がグリアを見る。グリアは舌打ちをした。 グリアはシャモンと何か話してる様だったが、よく聞こえなかった。 「今日はこれにて授業を終了とする。皆気をつけて帰るように」 アズサはそう言うと台から降りた。 ドウとシスカ、イーチィは一緒に帰る事になった。ジュンイチは反対方向に歩いていく。 シスカが問うた。 「ジュンイチいいの?せっかくパートナーになったのに」 「いいの。シスカ達の方が面白いし」 面白いってなんだよ〜、とシスカは笑う。しかしドウの方は頭が痛かった。 「なあに困った顔してんの!別に良いじゃない」 「確かに帰り道が一緒だからってなぁ、俺は一人が好きなんだ!シスカだけでも頭痛の素なのにイーチィまで入ること無いだろう!」 「頭痛の素ですって?失礼しちゃうわ」 イーチィはクスクスと笑う。 「じゃ、アタシこっちだから」 イーチィは右を指差す。ドウ達とイーチィはそこで別れた。 ドウとシスカは何も言わず歩く。 空はもうオレンジ色の太陽が半分に沈み、紫色の帯を迎えている。 沈黙を破ったのはシスカだった。 「手繋いで良い?」 「調子に乗るな」 ドウはぴしゃりと跳ね退ける。 「え〜!恋人同士なんだから手くらい繋いだっていいじゃん!」 「俺はシスカとパートナーになっただけで恋人になったとは言ってない」 あくまでも否定するドウの手をシスカは強引に握った。 ドウは動揺したが、シスカはしてやったりと笑い更に手を強く握ってきた。 「…何すんだよ!」 ドウは怒鳴った。しかしシスカは動じない。 「ドウ、顔赤いよ」 言われてドウは自分の顔が熱いのを感じた。慌てて顔を背ける。 「…ったくお前は…」 二人は手を繋いで歩いた。 その背中は長い影でさえ繋がっていた。 ドウは機械の国にいた頃から恋愛に興味が無かった。 幼い頃に両親を亡くし、自分は一人で生き、一人で死ぬのだと思っていた。 しかし今は違う。 忌まわしい事にシスカが纏わり付き、自分もそれが嬉しいと思っている。 ふとした時にシスカの事を思い出し、手紙が来ればシスカの事を想って返事を書いていた。 今の自分にはシスカが必要だ。 無意識にそう思っていた。 「…で、ラスタード国について、分かる者、手を上げろ」 社会の教師、ミチヒトがチョークを黒板に突き付けて言う。ばらばらと手が上がった。 「ではファルタ」 指さされ、ファルタが立ち上がる。 「ラスタード国は多くの森がある国です。北の森にはアイスドラゴンが、東の森にはグリーンドラゴンが、 南にはファイヤドラゴンが、西にはウォータドラゴンがいます。」 「その通り。良く復習してきたな、ファルタ」 ミチヒトに褒められ、ファルタは得意げに座る。 「ラスタード国は妖精も多い国だ。特にファルタの様な湖の妖精が多い。小悪魔も少なく、天使に恵まれている」 ミチヒトの授業は続いた… 「あーっ!やっと今日の座学終わった!」 シスカは伸びをして席を立った。 「ドウ!今日からパートナー授業始まるよ!」 鞄を片付けているドウに言う。 「わかってる。その前に給食だ」 ドウは席を立ち廊下に出た。 「ドーウー、相変わらず冷たいなあ!」 「冷静と言って欲しい」 ドウは気にせず食堂に入る。 いつも通りハンバーグ定食を頼み、いつも通りの席に着く。 「ドーウ!俺も今日はハンバーグ定食!」 シスカが向かいの席に座ってきた。ドウはシスカはちら見したが、すぐに食事にうつる。 シスカはつまらなそうにしたが、仕方ないと思ったのか、おとなしくハンバーグを口にした。 「そういやパートナー授業だけどさ、せっかく二人一組なんだから特殊な技とか欲しいよね」 シスカは勝手にうんうんと頷く。ドウのフォークの手が止まった。 「それなら考えてある。シスカがグラビティを使った直後に俺がファイヤーウォールでガードする」 ドウが言い終わるとシスカは顔を明るくしてドウに詰め寄った。 「さっすがドウ!一日で考えてきたんだな!」 「パートナー授業で何をするか位考えるだろう。俺達は攻撃タイプだから、唯一使えるファイヤーウォール を使った作戦を考えるのは当たり前だ」 ドウはフォークを進め始めながら言う。 「グラビティは遠隔操作が可能な魔法だ。上手くいけばこっちは無傷でいられる」 「凄い!俺達の特徴を利用した攻撃だな!」 「だから普通だって…。まあこの後やってみて上手くいくか検討しよう」 そう言ってドウは皿を片付ける為に立ち上がった。 昼食後− 生徒全員は校庭に出ていた。 魔案山子が一列に並んでるのが見える。魔案山子の胸元には魔石が嵌められていた。 アズミは校長台に立ち魔法拡声器で校庭に出た生徒に言う。 「これからパートナーでどのくらい攻撃力があるかテストします。至って簡単です。パートナーごとに案山子に攻撃して下さい。」 ドウ達は一番右の魔案山子を選んだ。2メートルくらい離れ、ドウは本を開き、シスカは腰に挿していた杖を取り出した。 「ラ・ファイヤー!」 「グラビティ!」 二人の魔法は案山子に直撃した…かの様に見えた。 「やったか!?」 「…いや」 二人の攻撃は魔石に吸収され、案山子は無傷だった。 「あー!全力出したのに!」 「今回は今の力を測るものだろ。今ので十分だ」 隣ではファルタとミラノが魔案山子に向かって攻撃をしていた。 ミラノが遠距離からウォータを放ち、その直後にファルタが魔力で強化された拳を打ち込むという戦法だ。 これもまた魔石に力を吸収され、案山子は風に揺れるだけだった。