芥川龍之介作品*あ行

芥川龍之介作品 * あ行


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あ 行 作 品 一 覧 表
芋粥(いもがゆ)
(うん)
尾形了斎覚え書(おがたりょうさいおぼえがき)
なし


芋粥(1巻120〜147頁)
境遇の急激な変化から来る、落ち着かない気分が、今日の天気のように、うすら寒く控えている。

元慶の終わりか仁和の初め、摂政藤原基経に仕える五位の侍がいた。五位は、風采の甚だ上がらない男で、更に人々の扱いもさんざんなものであった。上役・同僚果ては子どもまで、彼を平気で蔑んだ。しかし、そんな彼にもただひとつ欲望というものがあって、それは芋粥を満足するまで飲んでみたいというものだった。彼はそれまで、それを誰にもいったことがなかった。それなのに、饗宴でふとその願いを呟いたのを周りに聞かれた。それを一際嗤うものがいる。藤原利仁である。利仁は五位とからかいの意味で、芋粥をたらふく食べさせてやる約束をした。利仁の家のある越前の敦賀まで馬で行く。途中狐を捕まえて言付けをし、敦賀から迎えをよこさせた。利仁の家に泊まる。すると五位は不安になってきた。こうも早く芋粥が食べられてしまうことが不安だった。翌朝、利仁の家には大量の山芋が掘り出されて並べられた。そうして大量の芋粥が完成し、五位に勧められた。彼は何とかいくらかの粥を食べたが、もう一滴も食べたくなくなった。彼は、芋粥が食べたいとひとり心の中で思っていた自分を懐かしく感じる。
(1巻213〜227頁)
「(略)手前なら、そう云う運はまっぴらでございますな。」

陶器師の翁が青侍に語って聞かせる話。
三、四〇年前、ひとりの美しい女が、観音様にお祈りをするとお前はある男に出会うから、その男のいうことを聞けとお告げがあった。そして確かに帰り道男に手籠めにされてしまった。男は結婚して欲しいとせがみ、女は観音様のお告げなのでいうことを聞いた。だが、男が去った後に、盗品らしきものがごろごろと出てきたので、女の気持ちは変わった。恐ろしくて堪らず、それでもその盗品を盗み逃げ出した。女は盗品を元手に商売をしたという。果たして女は運があって幸せ者だったのか、そうでなかったのか・・・。
尾形了斎覚え書(1巻228〜235頁)


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