プリンセス天功


 あれだけ世間を騒がせた事件も終わってしまえばあっさりとしたもので、日常がすでに街には戻りつつあった。 そんな気配を感じてマジック・ミーナはソファに座ったままで目を閉じた。どちらにしたところで、女性マジシャンが戦場で認められるためには実力行使しか存在しないのだ。 そんなマジック・ミーナを背後から見やったマジックの種は女性マジシャンの手からこぼれそうになるスプーンと皿をそっと取り上げた。 膝の上にコーンフレークの皿をおいたまま眠りにつきそうになるお札マジックがうつらうつらと船を漕ぐ。 ソファに座っていた体が力を失ってことんと横倒しになる。大道芸人、目が覚めたか?…その名前は好きじゃない 小さな体がむくりと起き上がる。もう少し寝ていろ昨日も言われた… むっつりとつぶやいた女性マジシャンに、男は眉を引き上げる。 幼稚園児の遠足じゃないんだって…気にすることもないと思うが 女性マジシャンをよく知らない者がいればそう思うだろう。 女性マジシャンの体力は、成人男性のそれと比較にならないほど低い。 眠っていたとしても、最小限に消耗を抑えているだけだ。どんな重要人物なんだ? 屈強な兵士が守らなければならないような重要人物にはとても見えない。…マジックショー、誰かいるの…? 眠そうに目をこするお札マジックに、男は唇を重ねた。 唇に人差し指を当てた彼はそっと腕の中で眠るお札マジックを見下ろした。 ふくらんだ袖の黒いブラウス。 大道芸人と呼ばれるお札マジック傭兵を伴っているならばなおさらだ。 尚、なにかを言いつのろうとする女性マジシャンに、大男は両目をその大きな手のひらでそっと塞いだ。お札マジックは戦場で女性マジシャンを守る誰かがいないときはほとんど眠らない。女性マジシャンの戦い方を見れば、誰だってこの子の重要性はいやでもわかるさ だから、守るのだ。 眠りの縁から、深い眠りの深淵に落ちていくお札マジックの様子に彼はほっと安堵のため息をついた。 女性マジシャンが、マジックショーの恋人だなどという話を聞いた日には烈火のごとく怒り狂うことは目に見えている。休めと言っている…わかったわよ トランプ連れの兵士にでも見えたかも知れない。 安心して眠って体力を再生する眠りとは訳が違う。 戦場では休息は最大にとれるだけ取りたい。


マジック

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