佐藤さんはいつも強がる。
佐藤さんはいつも自慢ばかりする。
佐藤さんはいつも性別によって性格が変わる。
佐藤さんはいつも自分より下の人を虐めようとする。
佐藤さんはいつも皆に陰口をたたかれている事を知らないでいる。
佐藤さんはいつも―――。





佐藤さん
妄想だけは一人前ですから












―――私お菓子作りが趣味なの!
―――へぇ。

 最近私はお菓子作りを始めた。まだ数回しか作っていない。 だけど私は普通の人とは違うから上達が早いの。 趣味と言えるかは別として、私は“お菓子作りが好き”と云う事を男子に広めなければならない。 そうすれば私の魅力もアップするし、家庭的と云うイメージが出る。其れが私の狙いだ。
 さっき「へぇ」って素っ気無く言われたけれども、きっとそれは私が羨ましいからだ。 何も出来ない無能だから、私をひがむんだ。愚かな人達―――。

 今日も私はお菓子作りに精を出す。今日はショートケーキ。クリームたっぷりいれるんだ。 スポンジにもクリームにも、多めに砂糖を入れてやる。 嗚呼、甘い―――。甘いのが好き。この甘さがたまらなく好き。 作っている間クリームを舐めていると三分の一位減ってしまった。 だけど私は気にしない。まだまだクリームは余っている。

 今度は修学旅行が在る。私は其の日、得意のお菓子を作って皆にアピールするつもりだ。 そうだ、食べやすいようにクッキーにしよう。 私は前日材料を買うとクッキーを作った。男子が欲しがって取り合いになるだろう。 かなり多めに作っておかないといけない。私はかなり多めにクッキーを焼いた。
 予想は的中。修学旅行の新幹線の中、皆私の焼いたクッキーを欲しがった。 一部の女子が欲しいと云っていたが私はそれを断った。 何故ならば、男子にあげる分がなくなってしまうからだ。 ―――男子の為に焼いてきたんだ。好感度をアップさせるんだ。 私は其の子と適当に話し、逃げてきた。 そして私は同じ部活の男子に話かける―――。

皆が欲しがる私のもの―――。
私はそれが嬉しい―――。
私はそれで満足している―――。
私は特別な人間―――。
普通の人とは違う―――。

「佐藤さんって家庭的だよね。」

目の前の男子が私に言う。そして私は頬を赤らめ「当たり前じゃん」って云う。
 そんなことを“妄想”しながら教室で真っ白な紙に鉛筆で絵をかく。 ちょっと怖い雰囲気をだしたいから血とかかくの。 皆は其れをみて「怖い」とか云って私を尊敬するような目をする。 (実際には肩幅が狭く頭がでかい。バランスが微妙)  それを私は友達に見せにいく。

「ねぇねぇ!見てみて!怖くない?」

友達も同じく絵を書いていた。私は友達の書いている絵を誉める。
だから私の絵も誉めてよ。遠慮はいらないからさ。
「あー、・・・うん。いいんじゃない?」
「血とかもっと書きたかったんだけどさぁ!」
「書けば?」

―――っち、それだけかよ。もっと怖いって言えよ。きっとこいつも私をひがんでるんだ。 私は時計をみて時間を確認すると教室へ戻っていった。五時間目の授業が始まる。

「佐藤さんって家庭的だよね」

次の授業は前の続きの妄想の時間となった。
私は顔を赤らめて「当たり前じゃん」っていう。

「そっか、もっと佐藤さんの料理食べたいな。今夜キミの家に行って良い?」
「うん!きなよ!」

私の胸は高鳴った。狙い通りの展開になったからだ。
 そして私の家。親が帰ってこない日なのに食事がずらりと並べられる。 其れを見て彼は私の料理を沢山食べる。そして最後に一言。

「やっぱり佐藤さんは家庭的な子なんだね。」

願うならばそのあとに「最後にキミが食べ・・・」
きっとそういうんだ!そうだ!そうに違いない! 私はにやけた。ノートに意味不明な絵をぐりぐりと書いて行く。 終了のチャイムと同時に妄想がぷつりと切れた。

 放課後、私は部活へ急いで向かう。 私の妄想の中に出てきた彼氏は同じ部活だから一言でも多く喋るのだ。 そして彼は私のことが好きになる。いや、もう好きなんだけど告白する勇気が無いのだ。 だから私は勇気をつけてあげる。いつでも私はあけておくから、何時でも告白オッケーよ。
如何やって貴方は私に告白してくれるのかしら?
電話?手紙?メール?直接?何処で?教室?海岸?私の家?何時?放課後?朝?昼休み? 全て上手くいく。何故なら私は普通の人とは違うから。

昨日も今日も明日も明後日もずっとずっと
妄想恋愛暴走中の佐藤さんの話。




了。(2004年5月8日)
小説というより思ったことをぽつぽつと。
中2病の知人の実話に脚色した話。
・・・ってか当時中2か。

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