街の設定

白の街の設定

通称の「最果ての街」は、最後の時を待つ街、から。
同じく通称の「始まりの街」は、最後まで生きようとするために訪れる街、から。
同じような意味ではあるが、どちらの名称を使うかで、その人の心持ちが現れる。
どちらが正解というわけではないが、実際に街を訪れる人間は後者を使うことが多い。
どうやら、それは住民を受け入れる条件のためのようだ。(詳細は後述)

かつては単なる辺境の地の村にすぎなかった。
村の時の面影は、現在は街の外の森を残すのみ。
季節が止まったのを期に、かつての村人はほとんど他の土地へと移ったらしい。

物資の供給は、ほとんど汽車による定期便で行われている。
同時に、この汽車はここへと通じる唯一の交通機関でもある。

街自体は「季節は止まっている」が、「時間の流れそのもの」が止まっているわけではない。
とはいえ、空気が清浄であるために、病の進行は他の土地でのそれよりも遅れるという側面がある。
しかし、一度街に居住すると、街の情報保護のため、滅多なことでは外へ出ることはできない。
それもあって、街へ訪れる人間はそう多くはないのが現状。

公式には、季節が止まった理由は不明。
その特殊性から、徹底した国の管理の下で成り立つ。
本来は街の規模ではないのに、街を名乗るのはそのため。

住民は無条件で受け入れているわけではない。
一番重要なのは、「街の平穏を乱さないこと」。
「逃げ」として街を訪れる場合、これに抵当することが多いので、受け入れがされにくい。
というのは、ゆきが他者の気持ちに引きずられやすく、街の気候が荒れるため。
他には、「ある種の病を抱え、かつ一定以上の金額を待ちに納めること」。
朔の場合は、金額を上乗せすることで、最初の条件を補った。
しかし、これは父親の差し金であり、本人は知らない。
他、「特殊技能を持つこと」。
紗由良や匡弘はこの条件で街に滞在しているため、病を抱えているわけではない。
一般に公開されている条件は、「ある種の病を持つこと」のみ。

居住地の造りや、初期の内装は、概ねどの家も同じ。
しかし、店舗に改装したりなど、届け出さえ出せばそれなりに自由に改変できるようだ。

また、店舗にはいくらかの特権が認められているようだ。

街の中では、自動車、電話、時計、カレンダー、多くの電化製品など、ないものが多い。
その代わりに、雑貨や本などは豊富に存在し、ここでしか扱っていないようなものも多い。
街に滞在している人間の多くが職を持っていないため、価格は非常に良心的。
また、物々交換や、単純な労働を対価とする場合も多いようだ。
公にされていないが、街の品物は「外」では高値で売られ、国の収益源となっている。
街の滞在費用の一部は、ここから賄われているらしい。

建物は礼拝堂(中央広場)を中心に、放射状に広がっている。
ゆえに、他の通りに移るときには、必ず中央広場を経由しなければならない。
街自体は、非常に計画的に整備されている。裏道などもなく、迷うことはまずない。
その他、雪で覆われていることが多いが、地面は石畳で舗装されているなど、ヨーロッパの町並みの造りに似ている。
建物の高さが一様に抑えられているのは、周囲の景観を損なわないよう。
もしくは、他者から見つかりにくくするため。
木々が四方に満遍なく広がっているので、案内人の居住地付近以外からの出入りは難しい。
ちなみに、森の木のほとんどは紅梅の木。

礼拝堂は、特に定まった宗教のためのものではない。
少しした集会所だとか、休憩所だとか、そんな場所。
二階部分には、階段で上れるようになっているが、錆びた鐘があるのみで、訪れる人間はほとんどいない。
ゆきはここから街を見下ろしていることが多い。

他、案内人の仕事について。
案内人、という肩書きではあるが、実際に人を案内することはほとんどない。
主な仕事は、街の施設の管理。
必要な物資を各店に割り振ったり、個人宛の郵便物などのすべてを請け負っている。
他、街の中でのトラブルの処理だとか、届け出の受理、許可証の発行とか、意外に仕事は多い。
実際には門兵に近い扱いであり、街で唯一、麻酔銃の携帯が許可されている。
不審者を入れないようにすることももちろんだが、実は街から外へと人を出さないことの方に重きが置かれているようだ。

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