「毀れる」はカヤコとイツキと言う名の二人組みが運営する掌編メインの読み物サイトです。

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更新日
 タイトル //管理人のコメント

0917
 死神とハーゲンダッツグラス・クラム //ダッツの好きな女子高校生死神のはなし。
0505
 カクテルと紅い薔薇レッド・ルージュ //マメで負けず嫌いな男と、天然で変人な男。♂×♂ベースなので注意。
04xx
 トワイライトシャンデリア //一つ下と同じ人たち。魔王と女子高校生。
04xx
 ブラッド・ベリーソング //古い契約によって、女子高生の手で人間界に召喚されてしまった魔王(今は主夫)の話。
04xx
 リンゴと夕焼け //一つ下と同じ登場人物。
04xx
 銀色ジッポと月の欠片 //少女と青年、砂煙が酷い中・下層世界に暮らす年の差な二人。
0309
 隘路をゆく //魔法使いの少女と剣士の青年。
0215
 千紫万紅、その2 //下の続き
0206
 千紫万紅、その1 //どこかの国の食欲の無い上司(女)と家事が得意な部下(男)の話。
−−−−−2005−−−−−−−−−−−−−−−−−−

0816
 全ての始まり //長編(予定)の頭なので単品だとただの行き倒れ話。
0622
 雨の日には。 //海に面した市に住んでいる高校生たちの話。
0324
 彼岸花 //どこかの国の彼岸花が好きな女とデスクワークにおわれる男。
−−−−−2004−−−−−−−−−−−−−−−−−−



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サイト名// 毀れる
アドレス// http://2st.jp/ituki/
管理人// カヤコ、いつき



FORM MAILER

ひっそり「隘路をゆく」つづき。

 雨は止んだが、まだ空は雲に覆われており、月明かりの無い街は薄暗い。
家々の隙間を縫って石畳の続く通りまで来ると、やっと男の肩の上から下ろされた。外套を被せられたお陰で、足が少し濡れただけだったが、男の体は頭から爪先までぐっしょりと濡れ、足は泥まみれになってしまっている。つないだ手がひんやりと冷たい。雨が降りだすなり被せられて担ぎ上げられたのだから不可抵抗だと言っても、自分の外套を持っているのに借りてしまい悪いことをした。
濡れて金の髪が頬に貼りついた男の横顔を見上げていると、視線を感じたのか男がこちらを向く。目が合うと男は微笑み、ブルーサファイアの光が揺れた。
「なぁに、どうしたの」
「ここどこなのか教えて」
この通りをまばらに歩く人々は、もう雨は降っていないというのにフードを目深に被り、顔がうかがえないのだ。
「花街の裏通りだよ。あー、花街ってわかる?
あっちは此処らでも一番値段の高いおねえさんが…」
「そんな事聞いてるんじゃない」
石畳に響く足音をかき消すように時折、男女の笑い声や歌声がこちらまで届いているが、気になるのはそれよりも通りの魔力の気配だ。
「この通りって魔法使いが住んでるの?」
「一人いるよ、やっぱりそういうのって解るもんなのか。
さっきは見られてるの全然気が付かなかったのになぁ」
くくっと喉の奥で笑われて、自分の頬が赤く染まるのを感じた。
「うるさいな、ほっといてよ」
「ごめんごめん」
ゆるして、と頭を撫でられる。
「もう着いたからさ、初対面の人には笑顔の方が良いでしょう?」
男が指差した先には、羽を大きく広げた双頭の鳥の彫り物が美しい扉。通りに面した壁には明かりも窓も看板も無いその無愛想な建物の中で、繊細な装飾――鳥の目には緑の石が埋め込まれている――は異様だ。まわりの店には看板やら置物らやがあるというのに。
これでは商売上がったりではないか、それともこの程度で気後れする客はお断わりだという亭主の意向だろうか、などと考えているうちにその戸が開けられ、男に手を引かれるまま中に入る。音をたてて閉められた扉の内側には、小さな文字で魔法式がびっしりと書き込まれていた。
隠滅の、魔法。
魔力の気配を隠し、人間の気配を殺し、場に残る気配さえも消す。
双頭の鳥は招かれざる者を見張る門番か。
店内は小さなランプが所々に灯り明るく、屋外との差が目に辛い。カウンターに脚の高い腰掛けが五つあるだけの狭い店内に自分達以外の客はおらず、奥では亭主と思しき壮年の男がグラスを磨いている。その背の棚には硝子細工や螺鈿細工、様々な装飾品が所狭しと並べられ、合間に置かれたランプと瓶詰にされた硝子の立方体が異様に目立つのはそれから魔力を感じるからだろうか。
「此処は連れ込み宿じゃあ無いんだがな」
「そういうのじゃないってば、この子も泊めてほしいんだけど」
へらりと笑った男に再び頭を撫でられる。遠慮の無い値踏みする視線を感じたが、すぐに破顔して逗留の許可を出された。笑った様子は好好爺の様で、先程壮年に見えたのは嘘のようだ。
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良い加減新しいの書きたいなぁ2011/08/02
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