ふいに目が覚めて薄暗い寝床を見回した。 まだ朝と言えないほど辺りは暗い。 それでも、帰って寝るだけの空間が こんなにも新鮮に見えるのは 君が隣にいるからだ。 髪を透いて額に唇をよせた。 普段は中々帰ってこないから せめて今、この時を独り占めしたい。 そう思ったのだけれども 身体は正直で 瞼はまた閉じられた。 出発の朝 一昨日帰ってきたのに、今日は出発の日。 予定より早く起きた。 彼の寝顔をみるために。 自分の横には、ぐっすりと眠る彼がいた。 昨日はだいぶ無理をさせてしまったから、君は起きる事は無いだろう。 散々甘えてしまった事を鮮明に思い出す。 忙しいから君に会うと、ついつい日ごろの思いをぶつけてしまう。 いつも会えるのなら、もっとじっくり抱きしめたいのに。 もっと焦らずに求められるのに。 それを言ったらキリが無い。 それでも君は僕を受け入れようとしてくれて それが凄く嬉しくて凄く切ないんだ。 いつも君のそばに居れたら いつも君から離れなければ もっと君と愛し合えたなら・・・ でも、それじゃ君の好きな僕ではいられないんだ。 だから僕は列車に乗るよ。 もうすぐ行く時間なのに、眠る君の横顔が あまりにも綺麗だから、離れ難くて寂しくて。 起こさないように、優しく優しく頭を撫でて。 こめかみに唇を落とした。 「行ってきます」 そう、囁いて―――