それでも待ってる





 寒い日の帰り道。私はまた手の感覚がなくなるのを感じながら歩いていた。

「うー、さむいー」
「毎日毎日寒い寒いうるせーな」
「だって寒いんだもん!」
「気合いだ気合い」
「亮みたいな熱血バカじゃないんで」
「誰が熱血バカだって!?」
「………亮が」

 今この場に、亮以外どこにバカがいるのかと口に出してしまいたい。一歩、また一歩と足を踏み出すごとに私の手も冷え切っていくのに。熱血バカには気がつかないらしい。

「ったくよー、寒ぃんなら手袋でもしてくりゃいいだろ」
「手袋持ってないもん」
「じゃあ買えよ。手ェ真っ赤になってんぞ」
「欲しくない」
「はあ?寒いっつってんのになんで欲しくないんだよ」
「いいの、欲しくないの!」

 私がこんなに不自然なこと言ってるのに、まだ気付かないの!?私の手が真っ赤なんだから、真っ赤なんだからさ…!

「じゃあコートに手つっこんどけよ、俺みたく」
「やだ」
「なんで」
「転んだら危ないもん」
「確かに、お前なら転びかねねぇな」
「……亮のバカ!」
「なんだよ自分から言い出したんだろ?怒んなって。ほら、カイロやるから」
「いらない」
「寒いんだろ?素直に受け取れって」
「いらない!」
「だから何怒ってんだよ。あ、分かった俺に手袋買って欲しいってことか?俺そんな金持っ」
「亮のバカ!鈍感!激ダサ!」

 手つないでほしいから毎日手袋しないで寒いの我慢してるのに!なんで気づいてくれないの!?

 霜焼けになったら亮のせいだからね!!












20091117
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