一緒に目を瞑ろう





 ガタ、と障子が開く音に目が覚めれば、部屋の中はまだ暗かった。恐らく眠りについて数時間、まだ夜が明ける時刻ではないはずだ。部屋を開けたのは誰だろう、とまどろむ意識の中で、もぞりと布団に入ってくる人の気配に私は驚いて目を見開いた。

「っえ、ひじ、方さん!?」
「お前もっと詰めろ!」
「えっ!?」

 普段一緒に寝ることなんてほとんどなくて、隊士に示しがつかないとか何とか言って嫌がるクセに一体どうしたと言うのだろう。いくら驚いて目が覚めたと言っても寝起きの頭では土方さんのこの行動の理由は想像することも出来ない。
 布団から落とされる勢いで押され、布団からはみ出してしまうと物凄い勢いで身体を抱き寄せられ、痛いほどに抱きしめられた。本当に、一体どうしちゃったっていうんだろう。酔っ払っているのでは、と思うものの耳にかかる吐息からお酒の臭いはしない。この状況が嬉しくないわけではないけれど、それ以上に困惑しているのが事実だ。

「土方さん…息苦しくなっちゃうよ」

 ぎゅうぎゅうにくっついて、掛け布団を足の先から肩まで、いや頭まですっぽりとかぶせ出した土方さんを止めれば、いつもより瞳孔が開いた瞳と目が合った。

「お前うなされてたぞ」
「え?」
「お化けが怖いから一緒に寝てくれって騒いでたんだよ」
「……」

 ──────え?
 まさか。どんな夢を見ていたかなんて覚えてないけれど、うなされるような寝苦しさを感じた覚えはない。障子が開く音を聞くまでは、ぐっすりと眠っていたはずだ。
 自分でも無理があることを言っている自覚があるのか、土方さんは眉間に皺を寄せたまま耳を赤く染めていた。暗闇でよく見えないけれど、私には分かる。何があったのか知らないけれど、怖くてひとりで眠れないのは土方さん、貴方でしょう。
 私は笑って、土方さんの身体に腕を回した。久しぶりに、着流しを着ている土方さんの身体を抱きしめた気がする。

「お化けが怖いので、一緒に寝てください」

 今度また私がこう言った時も、絶対にね?






20120124
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