私の知らないイタズラの理由





「誰とメールしてるんでさァ」

 お昼時間、休憩がてら縁側に座りメールをポチポチと打っていると通りかかった総悟くんが私の隣に腰掛け、そう問いかけてきた。

「退くん」
「フーン…なんで」
「ほら退ちゃん今出張中でしょ、元気にしてるかなーって」
「あっそ」

 自分から聞いてきたくせにそっけなく、総悟くんはゴロリと横になってしまった。アイマスクをしてお昼寝を始めるのであろう総悟くんをチラリと見て、私はまた退ちゃんからのメールを返信すべく携帯のボタンを押した。退くんは出張先での仕事も無事終わり、明日には屯所へ戻ってくるそうで、それでも出張先から屯所までは半日以上かかるらしく移動だけでも大変だと言っていた。なんにせよ無事に帰ってこられるなら良かった。私はお土産期待してるね、と返事をして携帯を横に置き、読み途中だった雑誌を手に取り眺めた。するとふいに総悟くんが口を開いた。

「そーいえば」
「ん?」
「近藤さんが呼んでましたぜィ」
「えっ、それを先に言ってよ!」

 私は雑誌を置き、立ち上がった。

「近藤さん、局長室?」
「んーたしか」
「たしか…ってもう」

 とりあえず局長室行かなきゃ、と私は腰を上げた。




「ん?俺?呼んでないけど」
「ええ?だって総悟くんが呼んでたって」
「なんだ、総悟に騙されたのか?」

 そう言って笑う近藤さん。いや、ガハハじゃないし。もー、なんなの総悟くんってば。なんだかよくわからないまま私は縁側へと戻った。総悟くんは変わらずアイマスクをしたまま寝転んでいる。

「総悟くーん近藤さん呼んでないって言ってたけど」
「もうボケがきたみたいですねィ」
「違うと思いますけど」

 なんで嘘ついたの、なんて聞いてもどうせ総悟くんの気まぐれにきまってるからあえて聞かなかった。いつものことだし。私はまた雑誌を手にして先ほどの場所に座った。あ、そういえば退くんとメールしてたんだっけ。雑誌の横に置いてあった携帯を手にとると、その横で総悟くんが立ち上がった。

「あれ、もうお昼寝終わり?」
「土方さんが近付いてる気配がするんでさァ」
「気配?」

 きょろきょろと辺りを見回してみても、そんな気配なんて私には感じなかった。するといつの間にか総悟くんもいなくなっている。なんだかなァ…と思いながら私は携帯を開いて退ちゃんからのメールを見た。

「…えっ?」


受信メール
09/05/29 13:43
From じみ
Re:Re:Re:Re:Re:Re:
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ごめん、面倒だった?俺から
のメール、仕事の邪魔してた
かな…


 自分が送ったメールの返事としてはまったく意味の通じない内容に私は驚いた。私はお土産の話をしてたはずなのに…ていうか「From じみ」って!?私は「退くん」って登録してたはず。とりあえず送信BOXを見てみると打った覚えのない内容のメールが画面に映し出された。


送信済メール
09/05/29 13:27
To じみ
Re:Re:Re:Re:Re
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めんどくせえからもうメール
してくんな
シネ地味


「なにこれ…総悟くん!?」

 私はすぐ退くんにメールをした。多分私のいない間に総悟くんがしたイタズラだ。近藤さんが呼んでるって言ってみたり勝手にメールして電話帳の登録名まで変えてみたり、暇なのかな総悟くん。


メール作成<返信>
To じみ
Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:
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全然面倒じゃないよ!ていう
かさっきのメール、私がいな
い間に総悟くんが送ったイタ
ズラだから(´・ω・`)
電話帳の登録名も退くんから
「じみ」に変えられてるし、近
藤さん呼んでないのに呼んで
たとか嘘つかれるし今日の総
悟くんイタズラしっぱなし↓↓
他にもまだ何かイタズラされ
るのかな〜…


 退くんにメールを返信してから私は電話帳を開いた。じみ、と登録されている退くんの名前をなおしてから、あることに気付く。登録名を変えられてたのは退くんだけじゃなかったらしい。「近藤さん」が「ゴリラ」に、「土方さん」が「シネ土方」に、そして「総悟くん」が「総悟王子」になっていた。総悟くん、何がしたいんだろ…。不思議に思いながら私は寝転んだ。まぁ、いっか。土方さんみたくバズーカ向けられるわけでもないし、可愛いもんだ。

 総悟王子っていうか、総悟ドS王子だけどね。






20090529
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