ドライブ夢の中





 深夜、どうしても眠れなくて、私は万事屋に電話をかけた。

「銀ちゃん?」
『お前今何時だと思ってんの…俺明日久しぶりに朝から仕事なんですけどォー』

 こんな時間、もう寝ていたのだろう寝ぼけたような、寝起きの不機嫌そうな銀ちゃんの声が私の耳に響いた。申し訳なく思いながらも私は言葉を続けた。

「ごめん…あのさ、一緒に寝てもいい?」
『…は?一緒にって』
「銀ちゃん電話切ったら寝てていいから、玄関の鍵だけあけといてほしいんだけど…だめかな」
『だめっつか…なにお前今からウチ来る気なわけ』
「うん…だめ?」
『あのな、今何時だと思ってんの』
「うん…起こしてごめんなさい。寝てていいから、鍵だけ」
『バカですか、こんな時間に外歩く気かよ』
「なるべく走れば怖くない…」
『なるべくってなに、走っても五分と持たないだろ。つうか走るとかの問題じゃねぇよ』
「だって…」
『ったく…しゃーねーな、迎えに行ってやるから待ってろ』
「え、でも明日早いんでしょ?寝てていいよ私勝手に行くから」
『いーから待ってろっつの。その変わり、銀さんと一緒に寝るなんて何されても知りませんからねー、覚悟しとけよ』

 そうして切れた電話。銀ちゃんと一緒に寝られる、迎えに来てくれる。そのことに安心したのか私は銀ちゃんを待っている間に玄関で寝てしまっていた。目が覚めたら万事屋の天井で、隣を見れば昨晩何も出来なかった銀ちゃんのせめてもの腹いせなのか、胸にしっかりと銀ちゃんの手が乗せられていた。私は苦笑いしながらその手をよかし、そっと銀ちゃんの唇に口づけをして台所に向かった。ありがと、銀ちゃん。

 昨晩のお礼に美味しい朝食を作って、今度は私が銀ちゃんを起こすのにお布団まで迎えに行くね。






20090528
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