おひるねのじかん。





 お天気の良い土曜日の昼下がり。
 私は悠太の家のリビングの窓辺で、日向ぼっこをしながら悠太と二人でお昼寝をしていた。お昼を食べて二人で映画を見て、まったりしてきた所でのお昼寝は最高に気持ちが良かった。二人向かい合わせで寄り添って、悠太の腕の中はお日様のぽかぽかなんて勝てないほどにあたたかくて、とっても心地が良い。
 そんな悠太の腕の中で、私は気持ち良く眠っていた。


 どれくらい寝ていたのだろう、私はふと目を覚ました。すると私の体に回してくれていた悠太の腕が、そのぬくもりが、なかった。眠りに落ちた時よりも、二人の距離も離れている。どうして、と少し寂しく思いながら私は再び悠太に寄り添った。胸におでこをつけて、悠太の服の裾を掴む。
 先ほどあった腕のぬくもりはないけれど、それでも満足して私はもう一度、瞼を閉じた。

 あたたかい日差しと悠太のぬくもり、なんて幸せな────

 …………ん?
 何か違和感に気付き、私は目を開けた。目の前に広がるのは白のデザインTシャツ。……悠太は、黒いTシャツを着ていたはずだ。そう思い、私は顔を上げた。
 するとそこにあったのは、気持ち良さそうに眠っている悠太に瓜二つな、祐希の寝顔だった。

「ゆう、き!?」
「ん…なに、うるさい」
「な、なんでここで寝てんの!?」

 祐希はうるさそうな顔をして目をこすり、瞼を持ち上げた。そしてふてぶてしくも、こう言い放ったのだ。

「なんで俺にくっついてんの、浮気者」
「うわき、って、私悠太と寝てたのに、悠太どこ行ったの!?」
「ここにいるよ」

 訳が分からない、と声を上げれば、後ろから寝起きで掠れた悠太の声がした。すると私が顔を後ろに向けるのよりも先に、腰に腕が回った。

「なにやってんの、おいで」

 そのまま引き寄せられて、私の背中は悠太の体とくっついた。
 悠太が私の首筋に顔を埋めるから、胸がくすぐったい。

「お兄ちゃん、その子浮気者ですよ」
「んー、だめだよちゃん」
「違うよ悠太!なんで祐希ここで寝てたの?悠太の隣で寝たら良かったじゃん」
「だって悠太の横、日陰なんだもん。俺も日向ぼっこしたい」
「もぉ、だから私が寝ぼけちゃ……悠太?」

 引き寄せられたのに、今度は祐希の方に体を押されて、私は悠太とくっついたまま祐希との距離を詰めた。

「俺、半分日陰になってる」

 そう言われて顔を後ろに向ければ、確かに悠太がいたであろう場所には影が落ちていた。
 納得しながら顔を戻せば、私の目の前には再び祐希の胸があった。

「お兄ちゃん、私浮気者になってるよ」
「「だめでしょちゃん」」

 声を揃える二人に、誰のせいだと思いながらも、再び戻ってきた悠太のぬくもりに満足して、私は瞼を下ろした。

 あたたかくて気持ちの良い、おひるねのじかん。






20120111
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