PLEASE CRY MORE





 俺が死ぬのが嫌だと泣き続けるを、慰めもせず俺はただ抱きしめていた。




 いつまでも地面に寝転がっていて冷えてきた体を起こして、俺はを抱き上げた。いつからいたのか、の体は俺よりも冷えている。が泣いていて胸を痛めているのは俺としても心苦しかったが、泣き止まれるのは御免だ。ずっと俺が抱いててやるから、は俺の腕の中でずっと泣いててくれ。そう思いながら俺は泣き続けるを抱き上げ、立ち上がった。
 泣いたまま俺の首に腕を回すを抱き、俺は人目も気にせずに寮への道をずかずかと歩いた。むしろ見ろ、これが俺達の愛の形だ!寮に戻ればわんわんと泣いているを見てリリーもジェームズもリーマスも驚いていて、ケーキだけが先ほどと何も変わらずテーブルの上に置かれていた。ちょうどケーキの目の前のソファが空いていたのを見て、俺はそこにを抱いたまま腰を降ろした。

「まぁ、!一体何があったの!?」
「まさかシリウス、君が泣かせたんじゃないだろうね」
「俺が泣かせた」

 そうだ、は俺のことをこんなにも思って泣いている。俺は愛しげにの髪をひとつ撫でると、リリーはその俺の手をつねった。

になにをしたのよ!」
「なに、というか…(なにもしてないと言えばしていない)」
、もう泣かないで?一緒に食べようって言ってたケーキ、用意してあるのよ。食べましょう?」
「あ、そうだケーキ!」

 俺の首に腕をまわしてわんわん泣いていたは、リリーの「ケーキ」という言葉を聞くなりするりと腕をほどいた。そしてその腕はリリーの首にまかれ「リリーありがとう!」と笑顔を見せたかと思うと次は手にフォークを握って幸せそうにケーキを頬張り始めた。

 ──────どういうことだ。

 幸せそうにリリーとケーキを頬張るを、何とも言えない目で見つめる俺に気づいてジェームズが俺の肩に手を置いた。リーマスはとリリーとケーキを頬張っている。

「何があったんだね、我が親友パッドフット」
「あいつ俺が死んだ夢見たっつって、死なないでとか言って泣いてたんだぜ」
「ふむふむ、それで?(ときめいてしまったわけだね)」
「泣き止む方法は俺のこと嫌いになることしかねぇっつーから、ずっと泣いててくれって言ったんだよ」
「それは、なんとまぁ」
「なのに…なんでケーキで泣き止んでんだよ!」

 俺はの手を引き寄せ、最後の一口であっただろうフォークに刺さるケーキを口に入れてを睨んだ。

「あ、あ、あたしのケーキ!最後の一口が!!」
「お前何泣き止んでんだよ!!」
「あたしのケーキィ!!」
「俺のこと嫌いになったのか!!」
「ケー……え?」
「俺よりケーキなのかよ!!」
「え…シリウス?」

 するとは、にへらと笑い

「やだシリウス、ケーキにヤキモチ?かわいーっ」
「なっ!?」

 に続いてジェームズ、リリー、リーマスが「かわいー」と俺を見てにやついた。気持ち悪い声だしてバカにしやがって!

「クソ、………死んでやるからな!」

 俺は立ち上がり寮を飛び出した。

「えっ、シリウスー!?」

 呼び止めるの声なんて、知るか!






「…なに、シリウスってば。センチメンタルなお年頃なの?」

 俺の甘い胸の疼きを返せ!バカ





20070716
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