その涙のワケを、





 いつものように4人でツナの机を囲むように座ってお喋りをして、いつものように笑ってるハズだった。




「お前なんか嫌いに決まってんだろ!十代目がいるから一緒に喋ってやってんだよ!」
「そ…れは、どーもすいませんね!」

 バカ獄寺!と言って顔を背けたけれど、あたしはいつものように言えただろうか。いつもなら笑って言い返して、ツナが止めに入ったところで山本が新しい話題をふって、そんな風にまた笑い合うのに。今のあたしは笑顔だった自信がないし、苦笑いだったかもしれない。むしろ涙目になっている気がする。獄寺はいつもいつも十代目十代目ってツナのことを慕っていて、口が悪くて何かと悪態をついてくるけれど「嫌い」と言われるのは流石のあたしも、傷ついたようだった。なんだか頭で理解するよりも体が勝手に反応して、うまく言葉が出てこない。微妙な空気が流れているのを感じた。
 あたしは涙がこれ以上あふれないように一度ぎゅ、と目をつぶって何か他の話題を探したけれど、何も浮かんではこなかった。「嫌い」という獄寺の言葉が頭の中でぐるぐると回って、他のことなんて考えられなかった。いつもはすぐに笑って何か話題を提供してくれる山本が今日は何も言ってくれなくて、山本にチラリと視線を移せば山本は獄寺を呆れたような顔をして見ていた。

「獄寺くん今のはよくないよ」

 ツナの声があたしの涙腺をツン、と刺激する。そんなツナの優しさが、なんだかあたしをみじめな気持ちにさせた。獄寺の「嫌い」の言葉がよりリアルに頭の中を駆け巡る。いつもみたいに流して、何か違う話をしてくれていいのに、あたしのために獄寺を注意するツナは優しい。そんなところ、大好きだよ。(でも獄寺のことは、もっと好きなの)お願い山本、いつもみたく笑いとばして、何か違う話をしてよ。
 涙腺を閉めるように、ぎゅうと手を握って、たいしたことが思い浮かばなくて「次の授業なんだっけ」なんて未だに獄寺を見る山本に聞いてみれば、振り向いてもくれずに山本ではなくツナが口を開いた。

「獄寺くん」

 そんなツナの声を聞いて、獄寺はうめきだした。
 もういいから!いつものように違う話をしようよ!こんな空気、困るよ。獄寺だってきっといつものノリで悪態ついただけで、だけど・・・あたしがそれをいつも通り受け止められなかっただけ。だから、変にあやまられたってどういう反応して良いのかわからない。そもそも、獄寺の「嫌い」という声が未だにぐるぐると駆け巡る頭では、どんな反応も出来ない。

「い、いつもの…」

 ガタン、と乱暴に獄寺は立った。その音に驚いて顔を上げたあたしと獄寺の目が合う。獄寺は耳を赤くしてあたしに怒鳴った。

「じょ、冗談、に決まってんだろ!ほ、ほんとは…そ、の…逆だ!」

 獄寺の怒鳴った声があたしに響いて、ついにあたしは泣いてしまった。さっきから頭の中をぐるぐると駆け巡っていた声も消えた。ツナは微笑んでいて山本は「獄寺やるうー」なんて笑って、だけど獄寺はあたしが獄寺に怒鳴られて泣いてしまったんだと勘違いしたのか

「だから!冗談だって言ってんだろ!本当に冗談だっつの!」

 と顔を真っ赤にして更に怒鳴った。

「お、れは、だからぎゃく、逆で……だから好きだっつってんだろ!!」

 なんて、校内中に響くんじゃないかっていうほど大きな声で獄寺が怒鳴るから、



 バカ獄寺、あたしの涙は止まらない。






20070718
2style.net