「あっづ〜…眼帯蒸れる」
「暑いですねー」


ミーンミンミン…ジージー

蝉の大合唱を聞きながら、私たちは項垂れていた。
カンカン照りの太陽はキラめきすぎて直視できないどころか、青空さえ満足に仰げない。仰ぐ気になれない。
兎たちも金網の向こうで横たわってだるそうに寝ている。


「私も暑いですけど…解るんですけど…先輩、その格好って」


「何が?」


うさぎ小屋の前でうんこ座りをしている元親先輩は私の顔も見ずに言った。
何がって…何がって、そりゃああんたの格好はおかしいだろ。
今は私も先輩もジャージを着ているのだが、違うところが一つ。
元親先輩はTシャツを着ていないのだ。素肌にジャージ、つまり

裸ジャージ




しかし着方がおかしい。
ジャージは某かみ殺すよ風紀員の如く肩にかかっているだけだ。
もう裸ジャージと呼ぶのもおこがましい。
これはもはや半裸だ。裸族だ。キンニクマンだ。

「なんでジャージ羽織るんですか?なんでTシャツ着ないんですか?乳首丸出しでぷらぷらしないでください」
「何言ってんだお前。男がブラジャーつけるかよ?」
「そういう事言ってるんじゃねーよ!」

この男はその格好で恥ずかしくないのかと問いたい。
多分恥ずかしくないんだろうね。むしろ格好いいとさえ思っていそうだ。
脱ぐなら脱いでしまえ。その羽織ジャージが気にくわない。



「あ、もう水がねぇじゃん。汲みに行くぞ
「一緒にですか?」
「うん」
「…………………………………いや、私が一人で行きますよ」
「なんでだよ?てかなんだその間は?
「いや、ほんといいですから、一人で行けるんで」
「は?どうしたんだおまえ」
「いや、なんでもないんで。ただ先輩と並んで歩きたくないだけなんで」
「今さらりと本音言ったよな」


元親先輩の持っている給水器を奪おうとする私に先輩は抵抗する。


「いきなりどうしたんだ?俺の何がいけねぇの!?」
「鏡を見て下さい。そうすればわかりますよ。離して下さい」
「いやだ。はっきり言えよ。なんだよ?」
「じゃあお一人でどうぞ。私帰ります」
オオオオイ!待って!俺悪いところ直すから!行かないでお願い〜」

「…だからさっきから言ってるじゃないですか。その裸ジャージやめてください」
「えっコレ?コレの何が悪いんだよ?」
「気色悪い」
「うわ…ちょっとザクっときた。お前な。凄い奴はみんな裸ジャージ着てるぜ?某テニス部部長しかり、某聖徳太子しかり」
全部漫画じゃねーか!リアルで着てたら引くんですよ。私に近づかないで下さい

「おい、ちょ…」

給水器を引っ張りだこにしながら応酬を続けていたが、私は隙をついて給水器を奪い水道まで走ることにした。
奪ったはいいけどまたあそこまで戻らなきゃいけないんだうげえええ。

残された元親は小さくなるの背中を見ながらつぶやいた。



「…照れてんのか?」



(2008年9月頃拍手)

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