「食堂から野菜もらってきましたよー先輩」
「遅いぞ、何してんだ」
「すみません。食堂どこにあるのかわからなくって」

食堂から出た野菜の捨てる部分はどうやらうさぎのエサにするらしい。
うさぎもこんなキャベツの芯やニンジンのへたばかり食べさせられて可哀想だ。
たまにはうまい真ん中の部分だって食べたいだろうに。


「おい。早くこっちよこせよ」
「いや…あの」
「なんだよ?」
「うさぎ仕舞ってくれませんか?」



「嫌だ!」


答えたのは元親先輩でなく、その隣で私に背を向け縮こまっている男子生徒だった。









前田慶次の属性講習










「あの、私動物苦手なんです。悪いですが一端小屋に…」
「嫌だ〜!うさこちゃんと一時でも離れたら俺死ぬ!」
「何言ってんすか」


うさぎをきつく抱きしめ今にも泣きそうな声で言うその人を、流石の元親先輩も呆れた顔で見ていた。
その人のポニーテールは印象的で忘れようがない。
前田慶次だ。
前々回あたりにちらっとでてきたと思ったら途端失恋して帰っていったあの人だ。


「ううう〜。俺の傷を癒してくれるのはうさこちゃんだけだぜ〜」
「うさこじゃねえって何べんも言ってんだろ」

どうでもいいことをつっこむ元親先輩と前田先輩を遠くからながめながら、
今日はもう帰って良いかな…と思い始める。

「おら、困ってんだろうが!」
「あぁ!うさみ!」
「うさみでもねー!」

元親先輩は強引にうさぎを取り上げ、うさぎを小屋に戻した。
前田先輩は小屋にべったり張り付いてうさみうさみと嘆いている。

「お前なあ、失恋したからってうさぎに乗り換えるのはどうかと思うぞ」

いや、乗り換えてないだろ。癒されに来てんだろ。
ようやく近づけるようになったところで、私は元親先輩に野菜のほとんどクズを手渡した。





「前田先輩、元気出してくださいよ」
「……慶次でいいよ。前田健とかぶるだろ」
「か、かぶりませんよ。じゃあ慶次先輩。男のくせにうじうじしないでください」
「だってよー。あの秀吉だぞ…なんであんなゴリラがいいんだ?理解不能…」
「まあ、好きなもんは仕方ないですよ」
「なあ、あんなゴリラより俺の方がいけてるよな?」
「いやぁ…それはそれぞれの物差し次第なので」



うさぎにエサをやり終えた元親先輩が、小屋から顔を出しながら言った。


「お前の好きな女がそうしたいっつってんなら、いいじゃねーかよ?」
「お、先輩が正論を言った」
「なんだその珍しいみたいな言い方は」





「そうだけどよ…」


それでもしょんぼりし続ける慶次先輩。

元親先輩も困った顔でうーんと唸っている。
女の子の失恋には遭遇したことが何度かあるけど、男子の失恋は初めて関わった。
一体どうすればいいものか。
女の子なら大抵一人で立ち上がる気がするけど、男子はどうなんだろう。



「いつまでも未練たらたらしてたって埒がないですよ。此処は気持ちを切り替えていきましょうよ」
「切り替えったってなぁ、そう簡単に…」

「断髪はどうですか?女の子ですけど、先輩髪長いしいいんじゃないですか?」
「断髪か…。いや。だめだ」
「いいじゃないですか。正直言って暑苦しいです。それ」
「う、うるせぇ。この髪が無いと俺ってわかんねぇだろ?俺はこの髪あっての俺だから
「自分で悲しいこと言いますね。じゃあ仕方ありませんか…」


再び沈黙。
今度は元親先輩が口火を切った。


「じゃあ、髪型変えたらどうだ?ツインテールとか」

「おっ、いいねぇそれ」
よくないですよ!気持ち悪い!男のツインテールとか誰も求めてないですよ!」
「いや、意外に似合うかも」
「似合わないから!慶次先輩が中性的な男子だったらともかく、先輩ムッキムキじゃないですか!!」
「お前…そこまで否定しなくてもいいだろ。ちょっと凹む…」



「おい、!今テンション上がりかけてたのになんて事いいやがる!」
「えええ〜だって…。す、すみません」


テンションダウンした慶次先輩を見て元親先輩は慌てたが、
そのままツインテールにでもなってしまったらそれこそキャラがわからないだろう。
うわ〜もうやってらんない。

しかし、放っておけば的はずれの提案をする元親先輩に乗じ慶次先輩が大変なことになること山の如だが
私だってどうすればいいのかわかるわけない。




「じゃあ、ほら。べたに新しい恋探したらどうですか」
「ねね意外考えられない…」
「騙されたと思って他の子と付き合ってみれば、吹っ切れるかもしれないですよ?」
「じゃあ、お前俺と」
「お断りします。私うじうじする男嫌いなんで」






「うっうぇ〜〜ん!もとちかぁああ!」
「お、おお。よしよし。大丈夫だ。俺だってうじうじしたいときもある。
 こら!せっかく這い上がろうとしてる奴蹴落とすとは趣味悪いぞ!」
「いやぁね。早めにフラグは倒しておかないと方向性が…」
「何の話だよ!」


嘘泣きっぽい声を上げながら元親先輩に泣きつく慶次先輩。


「じゃあどうしろってんだよ〜」
「…じゃあ死ねば?」
「うわ。なんかいきなり投げやりになりやがった」
「いやぁ。もう面倒くさくなって。ていうかすみません、私恋愛事はあんまし興味ないので」




ここら辺でおいとましておこう。
面倒なことになったら億劫だし。これ以上私が色々言っても仕方ないしな。

「悪いですがこれ以上私は何も言えないので帰りますね。いい恋見つかればいいですね」
「おい、待てよ」
「…なんですか?」


立ち上がって尻についた草や砂を払いながら、
やはり嘘泣きだったらしい慶次先輩のけろっとした顔を見た。
なんだか嫌な予感だ。なにやら胸にときめきを秘めている顔だ。


「じゃあお前恋してないのか?」
「いや…ないですが」
「初恋は?」
「保育園の時、みんながまさやくんが好きって言ってたから私もまさやくん好きって言ってましたね。まさやくんって未だに誰だかわかりませんが
「じゃあ殆どないってわけか」


私の答えを聞くと慶次先輩はにいいと満面の笑みを浮かべた。
うっわぁイヤなトリガー引いちゃったか?


「こりゃぁ、俺の心配よりお前の心配したほうが良さそうだな?」
「いや、いいですよ。ホント興味ないので」
「もう高校生だぜ?そんな味気ない青春送ってどうすんの?」
「いや、いいですって」
「そんな所でキャラ立てしても何も楽しくないぜ?人生的にもノベル的にも」
「ポニテでしかキャラ立ってない人に言われたくないです」

肩に手を掛けつめよってくる慶次先輩からなるべく顔を逸らすが、
慶次先輩のにやにや笑いは私から離れてくれない。
なんか後ろの方で元親先輩がぼそぼそ言うのが聞こえたが聞き取れない。
聞こえるのは慶次先輩のうざったい誘惑だけだ。誘惑されないけど。



「恋はいいぞ〜うんうん。楽しいしウキウキする」
「はぁ。まあ一般的にはそうでしょうね」
「失恋が怖いのか?失恋もまたほら、自分の糧になるって」
「そのセリフそっくりそのまま打ち返します」
「だから、な!恋しようぜ!」
「そんな急に言われても…」

「つまり、お前モテないんだろ?」
「ぐっ…まぁ告白されたことがないのは事実です」
「わかるぜ。だってお前地味だし」
「悪かったね」
「身長も胸も顔も平々凡々。性格も普通!」
「…私を怒らせたいんですか?」
「つまりは、逆を言えばお前は原石なわけだ。これからキャラ作りをしようと思う」
「帰りまーす」
「おーい、ちょっとまてまて!」


私は無視して去ろうとしたが首根っこつかまれて、また土の上に座らされた。
体育座りで私の目の前を行ったり来たりする慶次先輩をながめる。


「キャラ作りと言っても、かぶっていては意味がない。
 の多少毒舌な所はツンデレにもなるだろうが、ツンデレ&巨美乳は既に上杉んところの姉ちゃんがいるし。
 アクティブじゃないところでいくとお淑やかでいけるかもだが、既にねねがいる。
 ヤンデレはお市、良妻賢母のまつ、ロリ&魔法少女&獣耳&ツインテールはいつき…」

いつき凄いな。詰め込んだって感じだな。
出てきてないキャラ並んでるけど話にならないし突っ込んだところでどうにもならないのでスルー。

「つまり、これ意外のキャラでいかなくてはいけねぇ。残るは、ぶりっこ、メカ少女、天然、ふたなり、めがね、男装…とまぁ色々あるが」
「なんでそんなに詳しいんですか。引きますよ」
「ま、メカとかふたなりは無理だとしても」

ふたなりが一体なんなのかがわからんし、その他も無理だわ!
天然とか無理矢理天然にするんじゃ天然じゃなくて腹黒じゃないか。


「じゃあ、とりあえず、ぶりれ?」
「え…あーえーっとあたし〜……ってできるかよ急に言われて!しかもぶりれってなんだ!」
「一人称は『』だ。“ねぇ、うさぎさんとぱふぱふしたいの〜” はい」
「えっ……っねぇ、ううさぎさんとぱふぱふしたいのー」
「棒読みだめ!ねえ、うさぎさんとぱふぱふしたいの〜テヘッ はい」
ねえ、うさぎさんとぱふぱふしたくないから!やってられますか!やってるこっちが気持ち悪い!


それがぶりっこなのかも疑問だ。ただ気持ち悪い女でしかないじゃないか。
そしてそれをやる慶次先輩も相当気持ち悪い、むしろキモイ。
あれっていうかいつの間にか元親先輩が居ない…なんだと!あいつめ!




「仕方ねぇな。じゃあこれは奥の手だが…」
「…まだやるんですか」

「ボク少女だ」

「ボク少女?」
「ああ。一人称がボクの女の子のことだな。これなら簡単だろ、やってみな?」

「仕方ないですね……………じゃあお前は喉を掻きむしって死ね!

違う!合ってるけど違う!わからない人居たらどうすんだよ!?一人称ついてないし!」




「…ボクにすりゃぁいいんでしょ?簡単ですよ。“ボク帰りたいんですけどいいですか?”」
「いいね!そうそう。そんな感じ」



「そうですか、じゃ。お言葉に甘えて」


「じゃあ次はって…あれ? おーい、何処行く…帰るの?え?ちょ、マジで?」












「パトラッシュ…ボクもう疲れたよ」

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慶次も似てませんね。あはは。なんだこのサイトへたれしかいないのか。
結果的に何がしたかったんだろう自分は。
慶次も結果的に何がしたいのかわかりません。
うぃき☆でぃあの萌え属性のページと睨めっこしながら書きましたが
なるほど。色んな属性があるんですね。勉強になりました。

最後ですが慶次は楽しいけどずっと一緒にいると疲れそうです。リアルにテンション低い私は特に。
書いてても延々に話し続けそうで怖かったので無理矢理切りました。ごめんなさい。
リアルに疲れたのも私です。ごめんなさい。
つまりアレです。途中で帰ったアニキは頭良い。
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