「いつまで笑ってるのよ」
「っ、ごめんごめん、あはは」
「人ごとだと思って!」

今日のお昼休みは、今腹をよじって笑っている友人のクラスでお弁当を食べていた。
違うクラスだから浮いたりしないか心配だったけどこのクラスはそういう事気にしないみたいで助かった。

「結構楽しそうな学校生活送ってるじゃん」
「楽しそうなって…」

最近の私の悩みを話したところ、この反応だ。
肯定されては相談の意味が全くない。

ってさぁ、昔から変な人にすかれるよねぇ」

しみじみ言うな。誰も望んでそんな人に好かれてない。
目に涙を浮かべながら私の高校デビューを盛大に笑ってくれた友人は、
私が不機嫌な顔をしたのを見てようやっとフォローをする気になったみたいだ。

「でも、ほら。真田幸村っていったら結構人気の男子じゃんか」
「……そうなの?」
「うん。特に上級生のお姉様方とかね」
「ああ、なんとなくわかる気がする」

幸村ってすごい子供っぽいもんな。
母性本能というか、そういうものをくすぐるのか。
同級生としてはもっと大人らしくしてほしいという煩わしさだけだけど。

「顔もいいし、金持ちだし、良かったじゃん」
「そうだっけ?…顔忘れた」
「あんたね、世の中顔と金が全てなのよ?ま、真田幸村は私の好みじゃないけど」

呆れたように言われたが、私としてはその考えに呆れるよ。





「ま、凡人好きのあんたがこの学校に入ったのがまず間違いね」
「どういう事?」
「私が見たところ、この学校には個性が強い人が多いみたい」
「つまり変人が多いと」

私もうすうすそう感じていたがやっぱりそうだったか。
百合子が机に体をのりだして、声を潜めて言った。
私も百合子に顔を近づけてよく聞こえるように耳を傾けた。


「あそこの窓際の眼帯の人、見える?」
「…うん」
「うちのクラスで一番の非凡人伊達政宗」
「なんで?」
「なーんかヤバイところの坊ちゃんらしくてさ。怖がって誰も近づこうとしないのよ」

確かに、大抵の生徒は昼休みには友達と談笑しながら過ごすものだが、
彼は今現在一人で空をボーっと眺めながら牛乳を飲んでいる。
彼はいつもああやって一人で寂しく食べているのか。
かわいそうな人だ。
からといって声をかける勇気があるわけじゃないけどね。


「ああいう人と友達になるより、真田幸村と友達になれたんだから、としては上々じゃない?」
「人に疫病神がついてるみたいに言わないでくれる…」
「まあまあ」

にかっと太陽のような顔で笑った百合子と対照的に私の表情は曇るばかりだ。
これから先これ以上おかしな人と関わりませんように。





…そういえば眼帯って、某動物好きを彷彿とせるな。


ふとロンリー伊達くんの方を見ると、伊達君もこっちを見ていたらしく私と目が合うと慌てて空に目を戻した。
まさか、今話してた事聞こえてないよね…。








BEST FRIEND








「∴◎☆∃⇔@⊥∂真田幸村と友達になれたんだから、としては上々じゃない?」


いつも通り一人で昼食を食べている時、ふと女子の声が耳に入った。
普段なら他愛のない他人の会話などに興味はない。
だから最初の言葉は良く聞いていなかったがその言葉の中のあるワードに思わず耳が傾いた。

“真田幸村と友達になれたんだから”

そう言った奴は確か同じクラスの吉坂だったか。
その向かいには見たことのない女子。顔も体型もぱっとしない平凡そうな奴だ。
こいつが真田と友達に?

ていうかあの真田幸村に女子の友達が?



ありえん。そんな事天地がひっくりかえるぐらいあり得ない。











「Hey,真田幸村!」
「おお、伊達殿!これは久しく」
「テメエ、女友達が居るって本当か?」
「ほ?」


IN放課後。
突拍子のない質問に鞄の用意をした格好のままぽかんとする幸村。
仁王立ちで聞く伊達政宗の姿に回りもしんと静まりかえる。



「ゆ、幸村ー!」

その静寂を破ったのは昼休みに見た平凡そうな女子。
KYな事に騒がしく走ってきて、伊達と幸村の前に割り込んだ。
急いだ様子で幸村に早口でまくしたてる。

「ごめん、今日バイトなの忘れててさ。一緒に帰れないから先行ってていいからね。じゃ、急ぐから!」
「そうか」

そしてバタバタと嵐のように去っていった。
嵐の後の静けさの中、幸村がそういえば伊達から質問されていたことを思い出して答えた。





「悪いが思い当たらぬ」

「嘘付け!」



「…何故だ?某は本当に思いつかぬ」
「じゃあ今の奴はなんだよ!一緒に帰るとかなんとか言ってたじゃねぇか!」
「今日は一緒に帰れないそうだな。殿も忙しい方だ」
「じゃなくて!今の会話明らかに友達…いやなんかそれ以上の内容だったろーが」
殿は友達だぞ?」
「居るんじゃねえか、女友達!」
「いや、殿は女ではないぞ」(※真田は諸事情によりそう思いこんでいます)

「!?」


あいつ…女じゃない!?
でも、しっかり女子の制服着てたぞ?
てことはオカ…
まさか、俺の近くにそんな奴が居るなんて…


「Jesus...」


顔を青くした伊達はふらふらと病人のようにB組の教室を後にした。


「おい!真田いいのかよ?」
「何がでござる?」
「伊達めっちゃ混乱してたぞ!?」













わちゃぁああ。私としたことが、こんな大事なこと忘れるなんて。
今日はようやっと見つけたバイトの初日だっていうのに。
こんなどたばたして大丈夫かこれから?

「Weit!」

とにかく急がなくちゃ、時間に間に合わない。
こんな丁度良い時間のバイト時間だと思ったんだけどなぁ…初日に首にされたら最悪だ。

「待てっつってんだろうが!」

腕をぐいと引っ張られて私の進行は止まった。
何?私今すっごく急いでるんですー。ごめんなさい道案内なら他当たってくださ…

「何言ってんだよ。Are you okey?」
「だ…伊達くん?」

私を引き留めたのは昼休み百合子に紹介された伊達くん。
もちろん私の紹介はしてないはずだから向こうは私のこと知らないはず。
いや、やっぱりあの時のうわさ話聞こえてたとか!?

「ご、ごめんなさいっ。悪意はなかったんですよ。ホラ、女子ってそういう生き物だから…」
「は?」
「すみません。もうあんな事言わないからっ。暴力だけはー」
「何言ってんだ?」

私の腕を掴んだまま伊達君は困惑した顔。
あれ、もしかして違う?でもじゃあなんで?
しかし力強いな。全力で振り払おうとしてるのに微動だにしない。
それが更に恐怖をかりたてる。
すると伊達君の片手が私に伸びてきた。


“なーんかヤバイところの坊ちゃんらしくてさ”



ヤバイ殺される…!


目をぎゅっとつむるが痛みは特になし。
だけどおかしな所に感触あり。
不意の接触は今までに何度かあった気がするけどあからさまに触られたことは無い場所。






「…な…」



「お前、これ偽物か?」











「んな訳あるかボケエエエエ!!!」




今度は本当の全力で振り切って伊達君から離れた。
触られた胸を隠すように鞄を持つ。
なんだ!?いきなり触ったと思ったら意味解らんこというな!
しかも人の胸さわっといて何でもなさそうな顔でつったってるよ、こりゃとんだ大物だ。


「な、ななな何するんですかいきなり!」
「Natural?」
100%ナチュラルだわ!偽物だったら私身投げしてもいいですっ」
「そうか…わりぃな」

謝るなら最初からすんじゃねええええ。ちょっと照れるなアホオオ。


って!こんな事してる場合じゃない!
バイトの時間が!

「じ、時間無いんでじゃ!」

それだけ言っておさらばしようと思ったがまたもや腕を捕まれた。
何!?まだ触るのか!このド変態!

「…まあ、オカマでも女でもどっちでもいいか」
「良くねーよ!女だっつーの、いつからオカマになったんだよ私!」




「お前、俺の友達になれ」






なんだかデジャヴを見た気がしたが…。

唐突すぎるのも程ほどにしてほしいもんだ。
まあいい。今はそれどころじゃないんだ。
友達なんて学校敷地内で作ってくれ。ここは公共の道路なんだぞ。
ここは通るために存在するのであって友情を育むためにあるんじゃない。

「時間無いんで、また明日!」
「いや、友達じゃだめだな。親友になれ」
てかさっきから何で命令口調!?ホント、時間無いの!バイト首になったらどうすんのよ!」
「で?答えは」
人の話を聞けええええ。そんな軽々と親友なんてなれますか!」
「…お前、俺の申し出断るとはいいご身分じゃねえか」
「拒否権無いじゃんか!時間がっ…」
「もう一度聞くぞ。お前、俺の親友になれ」

だからその言い方は聞いてないって。

「わかった!わかったから、なるからお願い離してっ!」
「Really?」

伊達の手がぱっと離れて私は前につんのめりそうになったが、寸前で体勢を立て直し一歩前に進んだ。

バイトオオオオ












結局バイトには2分前に到着、ぎりぎりセーフ。なんとか首はつながった。
けど10分前には行きたかったなぁ。時給制だし。

私が遅れたのは学校を出るのが遅かっただけじゃない気がする。
途中なんかごちゃごちゃした事があったような気がするんだけど良く覚えてない。
誰かにセクハラされた気もするがそれは誰だったか。されたかどうかも定かじゃないか。


「Good morning」
「あ、グッド………………………」


校門から学校までのやけに長い道のり。
突然後ろから英語で挨拶されて、英語の先生だろうと思って振り返るとそこには眼帯した男子学生が立っていた。
爽やかな挨拶で私の脳裏に様々な映像がよみがえる。
こいつだセクハラ眼帯…!

「なになに?2人って挨拶し合う仲だったの?」

隣にいた百合子がニヤニヤしながら聞いた。

なんか当たり前な感じで私に話しかけてきた伊達くん。
一体何しに来たんだ?おはようの後から何も言わずただ私の顔をじっと見ている。
怒ってらっしゃる?昨日いっぱい汚い言葉でツッコんだきがする。それか?それなのか?

ややあって何も答えず固まったままの私の代わりに伊達君が口を開いた。


「親友」
「え?」
「俺たち、親友」


まてええええええええええええええ。

伊達君の発言に目をまんまるにした百合子だったが、次第に横長になっていつものにまにま笑いに変わった。
違ううう!これには訳があるんだ!


「さすがね、
「ちっ、違うんだって、これは色々事情があって…」

「でもね、伊達くん。一つ言っておきたいことがあるの」
「Ah?」
「私もの親友なのよ」

何喧嘩ふっかけるようなこと言ってんだこの人っっ!
誰もが恐れるヤバイところの坊ちゃんじゃなかったのか、恐ろしい友達だ!

一瞬面食らった伊達君だったがすぐに正気に戻って私に聞いてきた。

「本当かよ?」
「ま、まあ。友達の中じゃ一番仲いいかなぁ」
「それは友達なのか?親友なのか?」


その質問は凄く困る。そんな事考えたこと無いよ。
確かに百合子は一番の友達だけど…親友の定義って何さ?
小学2年生ぐらいの数ヶ月前に転校してきた転校生が転校先のクラスメートに「誰が親友?」って聞かれてるのときっと同じ心境だ。

困った、私の一存では決めかねる。
助けを求めて百合子をちらと見た。

彼女の背後が紫のフィルターかけたように色がついている。なんですかその毒素?
そして名前の通り可憐な百合のような微笑み。

、私たち親友よね?」
「はいもちろん親友です」




私の返答に伊達君は困ったように眉をひそめた。


「じゃあ、吉坂も親友で俺も親友な」
「…う、うん」
「待った」

待たない!待ちたくない!
もうそう思ってるならいいじゃんか!
伊達君も友達いなくて可愛そうだしさぁ(さりげに酷


「こちとら小学生の時からの付き合いなんですよ。昨日今日会ったばかりの男にの親友の座を分け与えるのは気が進まないわね」

実際は数分しゃべっただけだけどね。
でもほら言うじゃん。時間とか関係ないって…あ、それ恋愛において?
まあ、友情においても言うと思う。だからもう掘り下げなくていいよ!

「こういう事ははっきりさせておかないと」

親友というもの自体私には曖昧なものに思えてならないんですが…

「テメエの意見なんかどうでもいい。俺がこいつの親友だっつったら親友なんだよ」
「大体あんた、この子のフルネーム言えるの?」
「・・・・・・・・」

まさかとは思ったけどやっぱり知らないみたいだった。
ふんと鼻を鳴らして百合子はほくそ笑む。

「名前も知らない子の親友だなんて、片腹痛いわね。友達の資格もないわ。さ、行きましょ」
「う、うん」

スタスタ歩く百合子に急いで付いていく。
後ろに置いてけぼりにされた伊達君が少し気がかりだ。

「ね、ちょっと可愛そうな気もするんだけど…」
「大丈夫よあのくらい。それに、あーゆう人と関わりたくないんでしょ?」
「そうだけど…後が怖いよ、大丈夫?」
「大丈夫。ああいうタイプはしつこくまたやってくるだけよ」

それって大丈夫といえるのか?
自分はこんなにも憂鬱な気分なのに、百合子はすがすがしくも鼻歌なんか歌ってご機嫌そうだ。


「まちやがれっ…」

またまたデジャヴで、腕をぐいと引っ張られて私の進行が止まり百合子の進行も止まった。
私の腕を引いたのはやっぱり伊達君で、なにやら勝ち誇った顔で笑っている。

「こいつの名前は、だ」
「聞いたでしょ?」

すかざす言う百合子に伊達君は声を詰まらせた。
今度は百合子が勝ち誇った顔になる。

「〜〜っ。いいじゃねえかよ、俺はコイツの名前を知ってる!じゃあ俺はこいつの親友だ!
「何言ってんのよバカみたい。じゃあの誕生日は知ってるの?家はどこ?家族構成は?部活は何に入ってる?Bは?Wは?Hは?好みのタイプは?

そんな私ですら覚えてない様なこと…って百合子あなた私のBWH知ってるのか。すいません本気で怖いです。
会ってトータル数分の伊達君が私の細かいプロフィールを知るはずがなく、
伊達君は喉を詰まらせ、この勝負は高らかに笑う百合子嬢の勝利となった。


「覚えてろよ!」

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伊達の話でした。う〜ん落ちが弱い(いつもいつも
なんか気づいたらオリキャラが出張ってました。
今回一番伊達のセクハラのくだりが恥ずかしかったですがべ、別にそういう願望があったわけじゃないからね!
とりあえず伊達が女でも男でもどっちでもいいやってのが書きたかっただけなんだから!
へたするとラブコメになりかねないんです。この小説は、なんででしょうか。
え?既にラブコメ?

伊達が伊達らしくない件については、多分英語あんまりしゃべってないのとどうもヘタレ臭いところですね。
英語あんまし喋らないのは作者が英語弱いのと、
英語入れるとホント頭のおかしい人に思えてくるので無意識のうちにそうしました。
へたれなのは多分作者の脳内で伊達はヘタレだと思いこんでるからでしょうね。幸村のヘタレとは違ったヘタレです。
へたれしか居ないのかこのサイトは。
2style.net