…どうしてまた、こんなことしてるんだろうか、私。


「あのー…えっと」
「Don't hesitate. なんでも答えてやるから、なんでも質問しろよ」

私の目の前には眼帯二枚目ボーイ伊達政宗くん。
一見ブレザーの着崩し方がとても素敵なイケメンに見えるがもてないらしい。
顔が大事と豪語する面食い女子は実はツンデレていているだけで内面を見て判断しているというわけなのだろうか。
…いや、伊達君の性格が悪いとかそういう事ではなくてね。


「じゃ、じゃあ…えとー、なんでこんな事をしてるんでしょう?」


同い年だというのにまだ敬語である。
それは彼の機嫌をそこねたくないという私の気持ちからなのか、彼の放つカリスマっぽいオーラがそうさせるのか。
でも彼は異性どころか同性の友達も少ないらしいからそのカリスマ性もあるのかないのか謎である。

「なんだよ、もっと突っ込んだ話しろよ」

い、いや…今は全然それが気になる。

「お前、前俺の事が怖いって言ってただろ?」
「え、ああ、そんな事もありましたね…」
「今日は俺が全く怖くないってことをわからせてやるよ」

そうして伊達君はニカっと眩しい笑みを浮かべた。
幸村とは違った真っ直ぐさが伺える…。なんて微妙な事になったんだ。

「そ、そうなんだー。ありがとう。でも私部活が…」
「今日はお前休むって俺から言っておいたぞ」

なに勝手なことしてくれているんだ。

「だから心配すんな。俺になんでも言ってみろ!」
「は、はぁ…」

どんと胸をたたいてまた嬉しそうな笑顔を向けてくる。
その輝かしい視線、私には突き刺さるようでとても居心地が悪い〜。
もうこの際幸村でも元親先輩でも誰でもいいから来てくれ!

伊達君と目線を一生懸命そらしながら、仕方ないので質問を考える。
どうしようどうしよう。特にそんな伊達君について知りたいことなどほとんどない。
なんて面倒くさい人なんだ。あたふたと考えている間に時間はこくこくと過ぎていく。

「なんだ?ありすぎて質問がしぼれないのか?しょーがねーなあ」

その逆です大佐!!
心の中で涙を滝のように流しながら私は伊達君に乾いた笑いを送った。

「おーい、政宗!こんなとこで何してんだよ!」

突然声がして振り向いた。
教室のドアのところに独りの男子生徒が居る。
少し長めの茶髪にそれなりに整った顔。
この空間に私と、伊達君以外の人間が居る!
全く知らない顔だけどもまるで私には世界を救う勇者のようにも見えた。

「成実?」

伊達がその男子の名前を呼んだ。

「部長にお前呼んでこいって言われたんだよ。カンカンだぞ部長」
「副部長に今日は休むって言ってある」
「部長はさぼりだってお見通しだったぞ!」
「ちっ、うっせえな!今いいとこなんだよ、空気読め」
「えっ?」

えっ?


いいとこって、この空気がか!
この私の胃に穴が空くような思いをしているこの空気がか!

「そうなの?」

成実と呼ばれた男子生徒が私を見て尋ねた。

「えっ、いやっ、そんなんじゃ…!」

伊達君には悪いと思いつつ慌てて手をバタバタして否定のポーズをとった。
しかし伊達君は傷ついたそぶりもみせずに、私を親指で指して

「ふっ…照れてやがる」

ととんでもないことを抜かした。
成実くんは私と伊達君を交互に見てから最終判断を下したのか教室に入ってきた。
よかったああと私は心の中でうれし涙を流した。

「…お前の事だから、無理矢理連れ出してやましい事でもしようとたくらんでたんだろ」
「ばっか言え!お前じゃねーんだから」
「ごめんな。こいつスゲー馬鹿だからさ。迷惑だったらはっきり迷惑!って言ったほうがいいよ?」

成実くんは私に向かって人の良さそうな笑顔を浮かべて言った。
近くで見るとどことなく伊達君に似ている気がする。
伊達君を4割柔らかくして6割常識的にしたような感じだ。
髪も染めているし少し遊んでいるようにもみえるけど、人当たりもよさそうでだれからも好かれていそうな人だ。

「ふっ。はそんな事いわねーよ。なあ?」
「は、はは…」

得意げに言う伊達君に逆らえずにまた愛想笑いを浮かべてしまった。
めっちゃいいてえ…。

「ほら、そういう事だ。さっさと邪魔者は消えやがれ」

えっ!?ちょっと、待って、それは、こまる!!

「…はあ、わーかったよ。部長には適当に…」

本当に行っちゃうのか、救世主!!

「ちょ、ちょっとまって!あなたも一緒におしゃべりしない!?」

私にしてはなんて大胆な発言だったろう。
成実くんも伊達君もキョトンとした顔で私を見ている。

「お大勢居た方が話しやすいし…、伊達君のお友達なんだよね?」
「友達って言うか、従兄弟だよ」
「そうなんだ!?どおりで似てるわけだねっ。じゃあ伊達君がどんな人かって教えてよ。伊達君もその方が話しやすいでしょ?」
「政宗が?なんで?」
「今日はそういう会合なんだよねっ。伊達君!」
「あ?ああ、そうだけど、俺は俺のことなら自分で…」
「そうもいかないよっ。自分の事ってどうやったって主観的になっちゃうじゃない。客観的な意見も取り入れていかないとちゃんとした自分っていうのは見えてこないよ!」
「…わかったけど、なんかやけに力はいってるな。
「そうかな!?」
「そうか…お前そんなに俺の事知りたいんだな?」





!?






…まあ、そういうことにしておくか。

「でも俺部活が」

そう呟いた成実くんをいかすまいと、私は必死に話題を掘り起こして笑顔で詰め寄った。

「じゃあ、小さい頃の話とかしてよ!!お母さんは?お父さんは?どんな人?」
「どっちもいい人だよ。母さんは美人だよな。それで俺部活が」
「そうなんだ!だから伊達くんそんな二枚目なんだね。性格はお父さん?」
「いや、性格どっちにも似てないんじゃないかな。親父さんは厳しい人だったし。…じゃあ、俺部活に」
「えっ、じゃあなんであんな性格に!?小さいときからあんななの?」
「そりゃあ大事に育てられ来たからなあ、政宗。それで俺様はいっちゃったんじゃねそして俺は部活に行きたいなあ」
「そうなんだ!じゃあ一人っ子ってわけだね。小さい頃からあんなんだったの?」
「小さい頃から俺様で自己中なヤツだったよ。もう部活の話はしないほうがいい?」
「うわあー。小生意気で嫌なガキだったろうね!」
「いや、そうでもなかったよ。大人には良い子ぶっててそれがまたむかつくのなんの。もう行くの諦めようかな」
「うっわー!絶対友達にはなりたくない子だね!端から見てたら面白いタイプ!」
「うんうん全く。しかもそれが俺は従兄弟だからね。友達みたいに嫌になったら縁を切れるわけじゃないし、ほんと苦労するよ。君もまあまあ友達になりたくないけどね!
「そっかあ。大変だねえ。うちも同居人に変なヤツがいてさあ…」




「…おい」


ダンッ


伊達君が机を叩いて私たちの会話を遮った。
無我夢中で自分が何を喋ったのかも覚えていない。
…いや、なんか不味いことを多々発言していたのはちょっとわかった。


「やめろ、お前ら。話に入り切れない感が否めない」

静かな声で伊達君が言う。
流石に今のは傷つけてしまっただろうか。

「…ご、ごめん!ちょっと調子乗っちゃって…」
「成実の話はやめて俺の話をしろ」
「俺の話じゃねーよ」

コイツ、馬鹿だ。



「は?今のお前の話だろ?俺様で自己中で小生意気で嫌なガキってお前しかいねーじゃん」
「灯台下暗しとはこの事」


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まとまらなかったのでボツりましたが成実くんが出たので惜しくてUPに至りました。
伊達と仲良くなる話はCAKEが代わりに本編入りです。
成実は“なるみ”と読んでいました。
彼はマンガのイメージが強くてなんか私の脳内ではロリコンという位置取りになっています。
政宗ロリコンもいいんですけど、彼はただ子供と遊んでもレベルが一緒だから仲良くできて、成実は普通にいやらしい目で子供を見ていればいいなあ。
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