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Rubinstein-Taybi 症候群とは?

ルビンシュタイン・テイビ症候群とは?
 

           大阪府立母子総合保健医療センター 発達小児科   岡本伸彦医師

はじめに

 ルビンスタイン・テイビ症候群( RTS )は1957年に症例報告として最初に記述されました。Jack H. Rubinstein Hooshang Taybi が、1963年に広い親指と大きな指先、特徴的顔貌と精神遅滞をもつ7人の子どもについて報告しました。この二人の医師の名前に由来して、症候群の病名がつけられました。その後、RTSは世界中で知られるようになりました。稀な疾病ですが、筆者の印象では日本でも2−3万人にひとりくらいの数で生まれていると思われます。乳児期に哺乳障害や体重増加不良、運動発達の遅れ、などで診断に至ります。軽症の場合は大きくなるまで診断されないこともあります。
 

診断 

RTS の診断は、医学的、身体的評価、平らな親指や幅広い足指のレントゲン写真、染色体分析を通して行われます。 遺伝学あるいは発達専門家の診察が必要です。 RTS の原因は、16番染色体(染色体については別項参照)にある、CBPという遺伝子の異常です(遺伝子については別項参照)。病院で行う染色体検査では通常異常はみつかりません。研究所レベルの特殊な方法で異常は同定されますが、一般的にはこの検査は行われません。発症は散発的で同胞例はきわめて稀であり、一般に遺伝性の病気であると思われないことが多いです。2番目の子が続けてRTS になる再発危険率はおよそ1%以下です。しかし RTSの人が成人になって結婚した場合、RTS の子どもが生まれる確率は50%です(優性遺伝です)。つまり、親がRTSの場合、その子どもはRTSになる可能性がでてきます。遺伝に関しては遺伝カウンセリングを受けていただけばよいでしょう。  

 参考ホームページ:日本遺伝カウンセリング学会             遺伝ネット
 

症状

 RTSの症状の特徴は低身長、かぎ鼻、わずかに変形した耳、高口蓋、眼瞼裂斜下、小頭症、幅広い親指、大きな指先です。親指の形は「おしゃもじ」のようで、大きな診断の手がかりです。背中の毛が濃い場合が多いです。学童期以降に肥満になることがあり、注意が必要です。
 生後のおもな問題は、哺乳不良と体重増加不良、呼吸器感染症を繰り返す、滲出性中耳炎、結膜炎などの眼感染と涙管閉塞症を含む眼科的異常、そして慢性の便秘です。心疾患が合併することもあります。
 風邪をこじらせて気管支炎や肺炎で入院しないといけないことも発生します。
 胃食道逆流症も合併することがあります。これは、胃の内容が食道の方に逆流し、嘔吐、喘鳴、呼吸器感染の反復がみられる状態です。胃酸の逆流で食道に炎症を起こします。
 麻酔中に不整脈が起こる場合があります。RTSでは全身麻酔で気管内挿管するまでの間、
肺に吸引物が入りやすいので注意が必要です。


 整形外科では、歩行、側彎、膝や股関節の状態をみてもらう必要があります。指の爪と足指の爪は真菌感染を起こしやすく、陥入爪にもなりやすいです。そして傷はケロイド(盛りあがった創)になる傾向があります。指の変形が強い場合、手術しないといけないこともあります。

 最近、頚椎の異常を認めた患者さんが報告されています。急に歩行が不安定になった、ころびやすくなった、いつも頸をかしげている、というような場合は、頚椎のレントゲン写真をとってもらう必要があります。これはダウン症候群でも時にみられる症状です。

 斜視や屈折異常(近視・遠視・乱視)の例があり、眼科での検査が必要です。めつきが気になる、異常にテレビを近くで見る、外にでるとまぶしがる、などがあれば、眼科を受診しましょう。

 年長者で悪性リンパ腫や脳腫瘍を合併したという報告があります。これは稀な合併症ですが、RTSの原因である遺伝子異常が関係していると考えられます。

 手術をしたあと、ケロイドができやすい場合があります。

 以上のように、RTSでは小児科が中心ですが、眼科や耳鼻咽喉科、整形外科などいろいろな科の診療が必要になります。 


発達遅滞 

 平均的には、12歳で座ったりはったりできるようになります。そして24歳の間に歩くようになります。理学療法や作業療法などのリハビリテーションが必要です。また、RTSには精神遅滞を伴います。その程度は様々であり、中程度の人が多いですが、軽症から重症まで幅広いです。それぞれの子の程度に合わせた療育をうける必要があります。

 RTSの子どもは、それぞれのペースで成長発達します。RTS の子どもたちは容姿、態度、医学的問題と性格において似たところが出てきますが、みんな当然個性的で違う面があります。幼児期の刺激と早期介入が RTS の子のために必要です。言われたことの大部分を理解しますが、他の人に必要な物や欲しい物を伝えることは苦手です。例えば食事、着替え、トイレなど身のまわりのことで援助と訓練を必要とします。身振り手ぶりもコミュニケーションの方法として考えるべきです。RTSの発達の程度、医学的重症度は、発達のためのプログラムを考える時、考慮に入れられなくてはなりません。

 学校ではわかりやすい内容でゆっくりと繰り返して学習する必要がでてきます。RTS の人の多くが11で、あるいは小グループの方が効果がよいでしょう。彼らはスケジュールがちゃんとしていたほうがやりやすいようです。
 RTS の子ども達は発達の遅れはあるものの、しっかりと家族の一員として生活しています。彼らは親切好きで、みんなと仲良くします。性格は明るく、よく笑います。子どもたちは何にでも触れて、そして電気器具、ボタン、ノブやダイアルを使うことが好きです。彼らは本、水、人々が好きであって、そしていろんな音楽にとてもよく反応します。 できたことはしっかり評価してあげましょう。 


治療 

 特別な薬で治療するというものではありません。それぞれの症状、合併症にあわせた対応が必要です。定期的な医学的チェックは必要です。療育や毎日の生活の中で、発達を伸ばしていくことが大切です。それぞれの子どもの個性を伸ばし、豊かな社会性を身につけることが大切です。特別な合併症さえなければ、平均寿命は一般とかわりません。
 家族の愛情がもっとも重要かつ基本的なものであることは言うまでもありません。


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